サーモン終盤戦は新鮮なメス狙い

2014.11.05 Wednesday

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    11月になった。島は完全に雨期モードに突入して連日の雨。渇水ぎみだった島の河川も水位を戻して、聞くところによると釣りの状況はかなり上向きの模様。と言っても自分はここ2週間、日本へ帰ったり、突発の仕事で忙殺されたりで10月後半のサーモン・フィッシングのピーク2週間、残念ながら川へは出かけていない。時間が出来たこの日、とりあえず、まずは例によって地元に近いスーク・リバーへ。日の出の時間が朝の8時とかなり遅くなっており、自宅を朝7時に出る頃も外はまだ真っ暗。ハイウェイを下りてスークに向かう海沿いのクネクネした道をライトを付けて鹿の道への飛び出しに備えてゆっくりと走る。以前、このルートでいきなり路上に飛び出してきた鹿を危うくはねそうになったことがあるのだ。スークの町に近づく頃には、闇の濃紺がゆっくり薄い皮を剥ぐようにブルーへと変わり、道沿いに高く立ち並ぶヒマラヤ杉のシルエットを浮かび上がらせていた。スーク・リバーの河口で鏡面の霧の海にぼうっと浮かぶヨットのシルエットが幻想的だった。





    川は予想した通りで、長雨で水位が上がり川幅もが広がり流れのスピードも増していた。といっても元々流れが緩い川なので、流れが早すぎて釣るポイントが無くなるという心配はいらない。ゆったりとした川の流れにフライをスイングさせてサーモンを釣るにはベストに近い状況だ。やっとこの川でスペイロッドが使える。2週間前にサーモンに折られたシングルハンドのロッドをセージに送らないといけないなと思いながら、岸辺に下りる小道を抜けた。






    川岸はサーモンの独特の腐臭が漂い、大仕事を終えたサーモンの残骸がかなり見受けられる。サーモン・フィッシング終盤戦のいつもの光景だ。偏光グラス越しにざっと川を覗くとあちこちにかなりの数のサーモンがラインナップしているのが見える。3週間前の様子と同じように見えるけど、実が状況は全然違う。この時期になるとサーモンはほとんど口を使わなくなり、フライにはほとんど関心を示さない。時々、エッグパターンのフライを気まぐれにくわえる個体もいるけど、まあ、基本は厳しい釣りになるのが普通。釣り人のロッドをあちこちでひっきりなしに曲げていた一月前の光景は、フレッシュでアクティブなサーモンたちが釣り人に与えてくれた儚く短い夢だったのだ。まあ、釣り易いあの時期だけ釣りをして終盤の渋い釣りはしないというのも手もあるけど、ほとんどの釣り人はあのロッドに伝わる強烈な感触を貪欲に求めるある種ジャンキーなわけで、まだ川にサーモンが沢山いるのに全く釣りをしないというのは、自分の含めてとても出来ることではない。





    悲観的な材料しかないのかというとそうでもない。実はこのサーモン終盤戦には、例年フレッシュなメス鮭が最終便でかなりの数が川へ入り込んでくる。なぜ時間差でメスが遅れて川に入るのかその理由は分からないけど、この時期にフライに反応するのはこのフレッシュなメスなので釣る側としては大歓迎。それとコーホーサーモンはチャムサーモンの後にピークを迎えることが多く、コーホーも数はすくないけど狙える。このスーク・リバーはコーホーの遡上の数は少ないのだけど、11月にサーモン解禁になるカウチン・リバーはコーホーの数がより多く上ってくるので、ピークを終えたスーク・リバーからカウチン・リバーへスイッチするのがビクトリア近郊のフライ・フィッシャーのこの時期のパターン。





    この日の釣果はフッキングが7、8度、ランド出来たのが3匹で、予想どうりすべて海から川へ入って間もない若いメスのチャム。フレッシュなメスも、いつもフライに反応するわけではなくて、2時間置きぐらいにオン・オフのスイッチが入る感じだ。フライはエッグパターンやエッグ・サッキング・リーチが効果的。というかストリーマー系のフライには興味が失ってしまっており、ほぼアタリが取れない。エッグパターンのフライを流す時には、常にフライを先行でナチュラルドリフトさせることがとても重要。何度もメンディングをして、基本はスィングさせない。サーモン・エッグがコロコロと川底を転がるイメージを持つようにしている。ただエッグ・サッキング・リーチの場合、ウーリーバーガー的なニュンアスがエッグパターンに組み込まれているので、ストリーマー的に流しても良いのではないかと個人的には考えている。実際、この日、スィングさせてアタリも取れているし。フライの大きさは比較的小さめが効果的で、それはサーモン終盤戦ではセオリーと言ってもよい。エッグパターンの場合、ロングティペットは絶対で、自分は10ftのシンクティップに8ftから10ftの17ポンド・ティペットを結んでいる。






    この時期のサーモンは基本的にフライは追わないので、確実にサーモンの鼻先にフライを通過させる必要がある。つまり魚のいる層にフライをトレースするために「シンクティップの重さ」「フライの重さ」「流れのスピード」「川の深さ」「ティペットの長さ」の相関関係を考慮してタックル設定を決める。サーモンの釣りはフライの釣りの中でも豪快さが目について大雑把な釣りと思われがちだけど、実はそうではなくて緻密な感覚が求められるのだ。


    それにしてもフレッシュなチャムのメスのファイトは相変わらず強烈だ。オスに比べてサイズは小さいのだけど、とにかく持久力があり、なかなか岸に寄ってくれない。岸に完全に寄ったと思い、安心してラインを手で手繰ろうとした瞬間、思いっきり走られてロッドのティップを折ったというフィッシャーは多い。絶対に最後まで気を抜けないけど、無事、サーモンをランド出来た時に感じる至福感はサーモン・フィッシャーの特権なのだ。





    11月からすでにカウチン・リバーのサーモンの釣りがオープンされてるので、次の休みはコーホー・サーモンを狙いにそちらへ行く予定。スーク・リバーはまだ釣りが出来る状況だけど、今季戻ってくるか、どうかはカウチンの川の状況次第。またレポートする予定。




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