サーモン、最終戦

2015.10.30 Friday

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    前回の枯れ葉とアザラシにやられた釣りから4日経ち、その間2日ほどまとまった雨が降った。サーモンシーズン終盤の雨はフレッシュなサーモンを海から呼び込むことが多いので、その期待を秘めスークリバーの釣りは最後のつもりで霧雨の中、車をスークに向けた。パーキングへ車を止め釣り支度をして川へ下ると、緩いスークの流れが見えてくる。対岸にはいつもの白鳥のカップルが羽を休めていた。大体、普段この場所にいる彼らは居付きの白鳥なのか、カナダギースのように冬場を前に南へ向かうのか、どうなのだろう。9時に下流域の釣り場に着いた時は潮の影響は全くなくて川幅も満潮時の半分ほど。これが昼過ぎからどんどん増えて2時頃には川幅は倍ほどになる。とりあえず、この朝の段階で比較的サーモンが溜まっている場所を探して釣りを始めることに。枯れ葉はほとんど流れていなかった。





    通常、潮が満ちてくるとサーモンは川をクルージングするようになるのだけど、朝のこの時間帯はサーモンは動き回らず、大人しく定位していた。フィッシャーがすでに二人ほどいて、挨拶して話を聞くとすでに何匹か釣ったらしい。サーモンは対岸寄りのやや深め、といってもたぶん腰ぐらいの深さに帯状に30から50メートルほどの長さにスクールを形成していた。流れは非常に緩くサーフェイスはフラットで対岸の樹々がミラーのように反転されて映し出されていた。


    シルバーボディでパラっと光り物を上部に付けただけのシンプルなフライを結び、ややダウンクロスにキャストして一度だけ上流にメンディングしてラインをほぼ直線に修正し後はそのまま流す。ほんの少しだけ小さなトイッチを2、3回入れる。フライラインがほぼ川と平行になろうとする頃、ツンと小さなアタリがあり軽く合わせるとサーモンの白い脇腹が流れの真ん中ほどのところに見えた。フライラインの先頭からフライまで15フィートほどあるのでフライラインの流しが終わってもフライはまだ川の中ほどをスィングしている。小ぶりな魚体からチャムのメスだと思ったのだけど、近くに寄ってきたサーモンは煌めくシルバーのボディ。コーホーサーモンだ。一匹目からコーホーか、と嬉しくなり慎重に寄せたのだけど、岸から1メートルほどのところであえなくフック・オフ。うーん、写真をとれず残念。





    その後、時間を置かずにチャムのメスを掛けて無事ランド。4、5回キャストするたびにサーモンのテイクが続き、結局、最初のフライを使い続けて5匹のサーモンを釣った。フライはもうボロボロなのだけど、こういう場合はあえてフライを変えずに使い続けることにしている。フライは最初に流した頃とはもう印象が完全に違ってしまっているのだけど、その壊れ具合がサーモンにウケるのかも知れない。去年も同じことがあって、最後の頃はフックに糸くずが付いてるだけの有様だった。それでもなぜか、そのフライをサーモンはテイクするのだった。もしかしてサーモンの匂いがフライに付いて、それに反応するのかも。そのあたりはよく分からない。





    その後、アタリがピタリと止まり、スイッチ・オフの状態に入る。これも不思議なのだけど、アタリが止まるのは自分だけではなくて、近くで釣りをしてるフィッシャー全員のアタリも止まるのだ。サーモンのアタリのスイッチはプール全体のサーモンに作用しているような気がする。中にはひねくれモノもいて周りの空気を読まずにフライを咥えるヤツももちろん居るはずだけど。でもそんなひねくれモノが口火となって、またサーモン全体のスイッチが入ったりするのだ。どんなに活性が良いときでも一日中スイッチがオンになってるケースは無くて、オフの時間が必ず来る。その時、オフの時間が短かければ短いほど、その日のサーモンの活性が高いと言える。この日は昼ぐらいまでオン、オフの状態が同じような配分で続いた。ただオンの時でもフライの選択が妙にシビアで、この日最初に使ったフライ以外はどうも喰いが悪い。


    上流のプールで鉄板だったチャートリュースやミッキーフィン、それと喰いが渋い時によく効いた小さなブラックのフライも喰わない。やや大きめのウーリー系、ゾンカー系ももちろんダメ。元々、終盤のサーモンに対しては大きなボリュームあるフライは効かず、中くらいから小さいフライで軽いドレッシングのものがメインになる。この日は隠し技のエッグ系も全くダメだった。要するにハデな色ものはダメというわけだ。最初のフライは、何となく昨夜、妙な予感があって3個だけ巻いてきたもの。ここ最近の釣りでティンセルにワイヤーを巻いて補強したボディに白やブラック、オレンジなどパラっと乗せただけのシンプルなフライが効いてる傾向にあったのだ。






    昼過ぎから海からの満ち潮で水位が上がり、それと共に川の流れがほぼ止まった。そして今度は流れが逆方向になる頃にはサーモンのクルージングが始まる。流れに対して頭を向けていたサーモンは、流れが反転することで方向感覚が狂うのか、落ち着きがなくなるのだ。前回、午後から釣りに来た時はもうすでにこういう状態だった。こうなるとサーモンが動いているためか、リアクション的にフライに反応するようになる。午前中に無視されたフライも次第にテイクされるようになるが、ただサイズはやはり小さめで軽いドレッシングのパターン。比較的浅くフラットなサーフェイスの状況でサーモンの群れの中にフライを投げ込む形となるため、スカンジタイプのテーパーの細くなるフライラインがやはり必要。スカジットタイプのラインでは、リーダーとティペットをかなり伸ばさないとちょっと釣りは難しいはずだ。カナダのサーモンの釣りは、川の状況によりスカジット、スカンジの両タイプのフライラインを使い分ける必要がある。キャンベルリバーあたりではスカジットラインでやや重いティップを付ける釣りになるし、BQではスカンジタイプが必携だ。





    サーモンが動き出してからも、フライをテイクしたりしなかったりのオン・オフはあるにせよ、比較的コンスタントに釣れ続けた。午前中に10匹ほど、午後からは7、8匹はランドしたと思う。そしてゆっくりと潮が引き始めると川は本来の流れに次第に戻っていく。そうなるとサーモンの動きは止まり、スイッチもオフの状態が長くなる。3時すぎ頃には、今日の釣りに見切りをつけたフィッシャーたちがパーキングに戻り出していた。この日は朝の9時から6時間、ほぼ同じ場所で釣っていたのだけど、その間川の状況とサーモンの行動がどんどん変化していった。サーモンの釣りは刻々と変化する状況に対応しなくてはならず、改めてその難しさと面白さを再確認。この日、フレッシュなメスの集団は見当たらず、もう川へは上ってこないのかも知れない。スークでは釣りそのものはもう少し出来そうだけど、自分の今季のスークの釣りはこれが最後になると思う。8月から続いたサーモンの釣りも一応一段落。ちょっと休みを入れるつもり。落ち着いたら、水位が戻ったカウチンリバーへ久しぶりにトラウトを釣りに行くのも面白いかな。大きなブラウンが産卵に向けてガンガン餌を喰ってるはずだ。






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