トラウト・スペイはどんなロッドにするべきか
2016.04.26 Tuesday
昨日の日曜日、家人が勝手に申し込んだ10キロのウォーキングレースに駆り出されて、思いっきりハイスピードで歩いたせいか、朝起きると身体全体がこわばっていた。記録は1時間27分でこれが良いタイムなのか、どうなのかはよく分からない。釣りに行くのは止めて、このまま朝の眠りを貪りたい気持ちもあったけど、窓からチラッと見たオレンジ色の朝焼けが今日の晴天を約束していたのでエイヤ!と気合いを入れて起きた。顔を洗ってすぐに荷物を持って車に乗る。近くのスターバックスで大きなダークローストコーヒーとサンドイッチを買い、車をハイウェイ1号に乗せた。
今日は上流のフライゾーンの様子をチェックしようと思っていた。それでも最初にいつものスカッツホールズを軽くひと流しすることに。先週もいい型のレインボーを掛けているので、何となく気になってしまうのはフィッシャー独特の過分な期待値。それは分かってます、はい。パーキングで前の週にちょっと立ち話をした女性のフィッシャーに偶然再会した。60歳くらいの大柄な女性で、長い白髪を三つ編みにしてSIMSのキャップをかぶっていた。大きなトラックを運転している。さすがにカウチン川でも、女性一人でやってくるフライフィッシャーは珍しく、最初は男のフィッシャーに間違えてしまったのだった。
あれ、今週もまた会いましたね、と挨拶。先週の釣りの様子やカウチンの釣り場のこと、使うフライやギヤのセッティングの話などをする。話しているとその知識からかなりの腕前らしいというのが分かる。別れた元旦那の影響でフライを始めて、よくスキーナやトンプソンにスティールヘッドを釣りに行っていたとのこと。今はナナイモに住んでおり、普段はスタンプ川でスティールとサーモンを釣ってることが多く、春先だけカウチンへトラウトを釣りに来るのだとか。カウチンはほんとに綺麗な川でいい釣り場よね..と言われると自分のことのように嬉しくなってしまう。じゃ、せっかくだから一緒にプールへ行きましょうかと二人でトレールへ向かう。
彼女は大きめなスペイロッドにスカンジラインを付けてウェットフライで表層を狙う釣り。何でもシンクティップを使うのは苦手なのだとか。スカジットは釣りはやらないみたいだ。トラディショナルなシングルスペイで綺麗に繰り出されるラインはほぼ川の対岸まで届いていた。うーん、なるほど。シングルスペイはなかなか美しいなぁ..と素直に思った。私はダブルハンドを始めた時からスカジットラインでスナップTやペリーポークでラインを折り畳むダブルスペイを練習してきたし、島の川ではフライを沈める釣り方が効果的なので特に問題はないと思っている。彼女はスキーナやトンプソンなどで大きな川でダブルハンドを使い始め、その当時はスカジットのショートラインはなかったのかも知れない。機会があればスカンジラインでシングルスペイを練習してみようと思った。
その後、長いプールの上と下で別れて釣る事にした。実はこの後、すぐに二人のフィッシャーがやってきて間に入ってしまい、その後、どうなったのか、分からずじまい。さすがに4人だとちょっときついので、たぶん彼女は下流のポイントを流してから場所を移動したらしい。実は私の方は上流で一匹掛けたのだった。42、3センチの太ったちょっと銀色っぽい色味のトルクのあるブラウンだった。彼女、名前はデイルと言っていたけど、またどこかで会うかも知れない。
私はこの日、ECHO SR#5のスイッチロッドに325グレイン、20フィートのスカジット、T14の7.5フィートティップというセッティング。普段、同じECHO#5でもTRのスペイを使っていたのだけど、この日は何となくスイッチの方にしてみたのだった。自分の中では同じ#5でもスペイの方が長い分だけ距離が出るという印象を持っていたのだけど、出ているランニングラインをみるとほぼ同じ距離がでていることが分かった。自分は左手小指に4ストローク、薬指に3ストローク、中指に2ストローク分ラインをはさみ、下手をグイっと引くと同時に指を開放している。自分はこのライン処理に慣れてしまっているので、出ているラインの長さはこれを目安に大体分かる。因みにこれで慣れてしまうと止水の釣りでもラインバスケットの必要は感じない。同じ#5でもスペイとスイッチはまったく別物で、スペイの方はスイッチにするとたぶん#7くらいのボリュームに感じられる。それでほぼ同じ距離が出るのなら、軽く取り回しの楽なスイッチの方が扱いやすい。もちろん、それは狙うターゲットに依るわけで、トラウトだけなら問題ないけど、居残りのでかいスティールなんか掛けちゃったら#5のスイッチだと収拾がつかなくなる。同じトラウト狙いでも、時期が早くてスティールが掛かる可能性がある場合はスペイにするとか、そんな判断でロッドをチョイスすればいいのだと思う。また#5のスイッチでピンクサーモンはちょっときついので、やはりスペイの方が無難かもしれない。
ところで最近、トラウト・スペイという言葉をよく目にするようになった。#2、#3、#4のスイッチロッドでトラウトを狙うということらしく、それに合わせて極端に短いラインも発売されている。RIOからは何と11フィートという驚くほど短いスカジットラインが出たし、OPSTのラインも15フィートとかなり短い。この日、10.8フィートのスイッチに20フィートのラインはまだ長いかも知れないと思った。短いロッドでキチンと距離を出すにはスィープでしっかりロッドに負荷を掛けて左手の引きでバットをしっかりと曲げなくていけない。ちょっとしたタイミングのずれが即キャスティングの失敗につながる。重ささえ合えばあと3フィートほど短い方が圧倒的に取り回しが楽になりミスキャストも減るような気がするのだ。ちょっと短いラインを試してみたくなった。ヒートガンを使い熱溶着でラインを改造してみる手もあるのだけどね。シーズン中にやりだすと大変なことになりそうなので、とりあえず止めておこう。
その後スカッツホールズから上流のフライゾーンへ。最初のスプリングプールに着いて、すぐに2台のガイド付きのドリフトボートが下っていった。まずはこれにがっくりきた。ドリフトボートはおいしいポイントをすべて叩いて行くので、トラウトは警戒してしまう。かなり時間を空けないと釣りにならないかもしれない。案の定、スプリングプールから釣り下っても魚からの反応は全くない。それでも時間が経てば、アタリが戻るかもしれないけど、その日はポイント、ポイントで沈黙が続いた。1匹だけ、30センチほどの銀色のレインボーがフライをくわえてくれた。それを潮にパーキングに戻ることにした。