妖艶な輝き、アクアなシニョール

2016.09.30 Friday

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    今シーズンが始まる前、ショップで見つけたSenyo's Aqua Vell Chenille。通常、毛足の長いシニョールは単色のものがほとんどなのだけど、この商品は3種類ほどの異なった色味が織り込まれている。複数のヒカリモノは妙な妖艶さを放ち、つい魅入られてしばらくパッケージを眺めていたのだけど、つい堪らず赤系とブルー・パープル系を購入してみることに。イントルーダーのテールに数回巻いたり、ボディにある長さを巻き込んだり、いろいろと使い方はあると思うけど、とりあえず私はシンプルにウーリーバーガー・タイプのボディ材として使ってみた。

     

     

     

     

    ゾンカーのテールをフックに付けてこのシニョールを巻き、ハックルを頭に卷くという基本形から出発し、最終的に頭にハックルを卷く前にマラブーとクリアなフラッシャブーを背中に乗せてからハックルを巻き、フック頭にはビードヘッドか、ダンベルアイを付けるというパターンに落ち着いた。シンプルなフライを卷くことが多い私の中では複雑な構造のフライに入るのだけど、それでも一個巻くのに10分は掛からないと思う。私は過去4年のデータからフライはプールにサーモンの数が多い時は、シンプルで小さめが良いという結論に達していた。ただフレッシュなサーモンに対する時やフライ・ローテーションの中で、ある程度のボリューム感のあるフライを見せる必要もある。この新しいパターンはそのポジションで活躍してくれるかもしれないと思ったのだ。まあ、それでもあんまり期待していなかったのが、実は正直なところ。

     

    さて、サーモンのシーズンが開幕。最初の2回のキング・サーモンの釣りで、突然このフライがなぜか炸裂したのだった。というか、他のフライではほとんどアタリが取れなかった。色はグリーン、ブルー、パープル系がとても効き、時々レッド、オレンジを混ぜたブラックなどにも反応した。いずれにしてもゾンカーとこの新しいシニョールの組み合わせが鍵になってる気がしている。試しにフライを水の中に入れて動かしてみるとよく分かる。シニョールとゾンカーは水中で密着しゾンカーの柔らかな動きがシニョールに伝わっていく。その動きや角度でシニョールはヌメっとした妖艶な輝きを放つ。背中に付けてるマラブーと頭のハックルはシニョールの上半分とフライ前部を部分的にうまく隠してくれていて、それが過剰なギラつきを抑える形となっている。つまりミノーの腹部分だけが光るようなリアリティがあるのだ。背中の硬めのフラッシャブーも一本の光るアクセントとなっている。

     

     

    上のパターンは4、5センチほどのマイクロ・ヴァージョン。フックのサイズも小さいが20ポンドクラスのキングがしっかりと咥えた。サイズを落としてもフライの機能は同じなので、むしろサーモンの数が多いところでは驚かすことがないので効果的かも。

     

     

    初回のキングの釣りで、このフライはボックスに5、6個ほどしかストックがなく、アタリが取れても切られたり、壊されたりで、釣りの中盤からフライのやり繰りがかなり苦しくなってきた。2回目の釣りではフライを沢山巻いて持って行ったのは言うまでもない。2回目も相変わらずこのフライは効き続けた。今はチャムやコーホーの釣りでも、案外にイケるのではないかという気になっていて、せっせとこのパターンを巻いている毎日。10月には友人との1週間のサーモン・ツアーを予定しているし、今やこのパターンに期待する気持ちは日に日に高まっている。そこが落とし穴かも知れないけど、まあ、従来の実績あるパターンも一応抜かりなく用意するつもり。どうなりますか。日本のサーモン・フィッシャーの方も、チャム用に日本で良く効くというレッド、パープル系に合わせてこのシニョールを使ってみる手はあると思いますぜ。

     

     

     

     

    ところでSenyo's Aqua Vell ChenileのSenyoなんだけど、Greg Senyoってタイイング界では有名な人みたい。私は以前フライのお店でこの人を本を見て、おーいいなぁ..と暫く手に取って眺めていたのだった。Fusion Fly Patternとか、そんな題名のぶ厚いオールカラーの本で、彼はシンセティックな新しい素材を積極的に使うタイヤーらしい。まあ、Fusionな人なんでしょうね。本は高かったから買わなかったけど、クリスマスの時期にまだ残っていたら自分へのプレゼントのリストに申請しようかなと思っている。新素材の使い手には何かと役に立ちそうな本でありましたよ。あ、そういえば北海道のYunさんも、このSenyo's Aqua Vell Chenileのことをブログに書いておられた。あの方は素晴らしいタイヤーなので、私なんかよりももっと効果的にこの素材を活かすフライを巻くと思う。期待してます。

     

     


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