夕暮れの弾丸レディ

2014.10.10 Friday

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    この日は満潮時の頃合いを狙ってスーク・リバーに向かい、川に立った時は光が斜光に変わる時間帯で、もうすで午後4時を回っていた。この下流域は満潮時に川幅が広がり、今の時期、サーモンの新しい群れが入ってくると予想していたのだけど、それは全くそのとうりだった。川には海から上がってきたばかりのフレッシュなチャムサーモンがあちらに一団、こちらに一団とスクールを形成し小さなさざ波を立てながら、満潮で広がった川一面に回遊していた。サーモンたちは川に入ってきたばかりで興奮状態にあり、実はこの状態の釣りは案外に難しい。サーモンたちが落ちつてフライを見てくれないのだ。それでも数がいるので、休んでる個体やたまたまうまく目の前を通り過ぎるフライに対してタイミングがあった個体などのバイトを、丹念に拾っていく釣りとなる。


    それにしてもフライの選定に思った以上に時間がかった。いろいろ試してもこれだ!というフライがなかなか見つからずに、最後にシンバーのティンセルを巻いた上にシロとクロのヘアをパラッと乗せただけのストリーマーに反応してくれた。サーモンの場合、フレッシュだからこのフライ、川に居着いているからこれ、とかいうセオリーはほとんど意味が無くて、その時々にヒットフライを探し続けなくてはいけない。川に到着して先に釣ってるフィッシャーがいれば「フライは何?」というのが挨拶がわりになるのは当然で、だれだってその日のデータをいち早く手に入れて釣果につなげたいと思っているのだ。





    最初にヒットしたサーモンはクレージーだった。一気に下流に40メートルほど走り、そのまま海に帰ってしまうのかと思ったほど。とにかくランニングラインもすべて出てバッキングも見る間に減っていく。ヤバイと思ってこちらも一気に下流へ走る。途中、釣りをしている二人のフィッシャーに謝って前を通過させてもらった。彼らも状況を分かっているのでニコニコしてロッドのラインを川から出してくれる。以前、バッキングラインをブレークされてフライラインを失ったことがあるので、バッキングラインだけは出来るだけ早くリールに収納したい。バッキングの黄色の色をみると、それはそのまま黄色信号の点滅を連想させる。


    何とか下流で止まってくれたサーモンは執拗にジャンプとランを繰り返し、岸に寄ったかと思うとまた一気に深みへ走り、その度に焼けるような甲高いリールの音を水面に響かせていた。そんなことを暫く繰り返して、やっとビーチに引っ張りあげたサーモンは何とメスだった。そのワイルドぶりにてっきりオスだと思っていたのだけど。その魚体は海で泳ぎ育ったままの砲弾型で、このサーモンも川に暫くいるとその肉も落ちてきて川のサーモンの体型となるはずだ。とにかくこいつは自分が釣ったチャムの中では、たぶん最強の弾丸レディだと思う。その後、数回ヒットしてもう一匹、オスのサーモンをランド出来た。このオスも相当な強さだったのだけど、最初の弾丸レディを印象が強列だったので、比較的冷静に対処することができた。






    時間も6時をまわり、夕闇が迫ってきたのでパーキングに戻ろうと下流へ歩いていくと、地元のフィッシャーの親子連れを見た。ウェイダーも着ないで長靴だけで釣ってるところをみると家が近いのかもしれない。丁度、子供の目の前でサーモンをランドしようとしていたところで、子供はオーマイガ!っと興奮状態。パパは釣り師の面目を保ち、何となく得意げの顔。この子は将来、やはりフライフィッシャーになるのだろう。








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